ファッションショーとITの議論:ファッションショーは必要か?【2】

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■オンラインとオフラインを巧みに使うことでブランドエトスを創りあげる方法■

ファッションとテクノロジーの議論:ファッションショーは必要か?<1>

ブランドエトスの訴求はファッションショーに取って代わるのか

 

■ブランドエトス 

さて、<1>の続きとして、ファッションにとって大事になってくると言われた「ブランドエトス(Brand ehhos)」。ブランド・アイデンティティの1部ですが、決してブランドそのものではありません。Ethosというのは特有、文化、精神、性格・習性、癖という、人間ぽさが出てくる部分と、芸術性を含む道徳的・理性的な特性、気品という高尚な意味でもある。 Be Brandedの言葉を借りるなら、「ブランドは商品を売るのではない、エトスを売るんだ」と表現されます。意味不明ですか?

その辺をさらに言うと、私がかつて書いた記事で恐縮ですがブランドとの絆、ワクワクするかどうかです。そのスイッチ作りでありなんです。それがブランドエトスだと思っています。これは、最終的にはカルト的なまでのつながりになります。

これを、視覚化する(イメージフィルムなどのコンテンツ)。これがファッションショーをせずしてブランドを表現することですが、お分かりの通りこれだけでは拡がりません。拡げる人、拡げてくれる人達が必要です。バズマーケティング(SNSなどの口コミ)ですね。PRの新しい形インフルエンサーエンゲージメントがその例の1つかもしれません。

 

 

■インフルエンサーエンゲージメント

インフルエンサーエンゲージメントというのは、ソーシャルメディアの波です。極少数の人から拡大していくことで影響力を意味します。海外では、word‐of‐mouth(WOM)【口コミ】がベースとして説明されていますが、ブログやTwitter、Facebook、YouTubeなどネットを媒介したもので普通の口コミよりも強力なものを指します。詳細は、本ブログの過去記事を読んで頂けると幸いです

人々は最新のニュース、アップデートに飢えています。特に、ファッション産業はほかよりもリアルタイムに反響を確認できる敏感なものだということは、海外ではよく取り上げられます。日本も例外ではないと思います。これを用いてブランドエトスという絆を作り上げていく戦略となります。

 

ただ、日本でこれはまだ無理でしょう。「ブロガー」というもの1つとっても海外に比べて圧倒的に弱いからです。もちろん僕もそうです。その辺は以下の記事を読んで頂きたいと思います。

そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 3 – THE FASHION POST [ザ・ファッションポスト]

日本独特の業界の閉鎖的なサロン、コミュニティのことが書かれているのですが、それと関係なくなると、大きなコミュニティとして2chですよね。不特定多数の匿名性が保証されたフィールドでいつの間にか個を罵り合う。すべてがそうとは言いませんが、両翼はファッションブロガーという存在に光は与えない状況でしょう。しがらみか罵倒か、そこに突っ込んでいく勇気がお前にはあるのか?それが日本です。だからこそのSNSですが、この2者の存在感が大きいのは否定できなでしょう。

 

 

 

エディスリマンのサンローランパリは圧倒的なパワーを持ったブランドエトス


さて、話を戻してエトスの例です。<1>でブランドエトスを(結果的に)うまく使った例があることをあげましたが、サンローランパリです。
ブランドエトスは、ブランド側からどんどん情報を流すだけじゃあ意味がないのは、前述でなんとなく感じたかもしれませんが、それをうまく使っているのがエディスリマン。ファッションショーはしない、バイヤーオンリーの密閉された空間。完全にアナログです。撮影禁止。見たくても関係者以外見れない。リークもなし、ルックブックがないしオンライン上に写真がないから。このデジタル時代を持ってしても、エディスリマンの戦略に勝てませんでした。でも、皆サンローランパリの方向を見ています。枯渇しているように少しでも情報探し欲しています。見つけると拡散します。

 

■グーグルインサイトで見てみる


皆が、エディスリマンとサンローランパリについてどの程度興味を持っているか?情報を探っているかはグーグルインサイトを使ってみるとある程度把握できます。期間設定は2012年で、すべての国、すべてのカテゴリ、ウェブ検索での結果を出力してみました。比較対象として、世界中で展示会を行い、映画監督としてもデビューをする山本耀司の名前も入れてみました。個人的にホットな人でもあるので・・・。

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「平均値」で色分けされているワードの時系列人気度の動向がこのグラフです。Yohji Yamamotoは、だいたい20から40の間を推移していますね。この数字は検索された数ではなく、Googleがデータを正規化して0~100 のレベルで表したものです。だから、100というのはすごいんです。山の頂きになっている「E」は、エディスリマンがイヴサンローランのクリエイティブディレクターに就任が決定したあたりですね。

一方、プレタポルテラインの名前が「サンローランパリ」になった後、7月の前あたりからグラフがあがってきています。最近では20を越えたくらい。もっとも、まだYves Saint Laurentと混ざってしまっていますが、フランス、アメリカで検索されているのがわかります。それは、Yohji Yamamotoと同じくらいのレベル。Yohji Yamamotoはパリコレクション2013S/Sを開催しています。
一切見せていないし、エディスリマン側からの積極的なメディアへのアプローチはなし。ファッショニスタの期待と渇望が波及効果となって働いています。「あのエディスリマン」は、何をしてくれるのだろうか?早く情報がみたい。そんなところでしょうか。

ここで、注意すべきことは、「あの」エディスリマンということです。もう過去の遺産としては申し分ない経歴を持ち、まだ終わっていません。だからこそ、ファッションショーをやらずしてブランドエトス(ここではエディスリマンと皆さんのつながり)が効いている。すごく分かりやすい例としてあげてみましたが、新鋭デザイナーで同じ事は無理です。

 

 

ファッションショーの在り方:オンとオフを制する

長くなりましたからここで結論を述べますと、ファッションショーは今後二手に分かれていくでしょう。まずオンラインでの表現は、この数年でさらに拡大すると思います。
というのも、ブランドエトス、インフルエンサーエンゲージメントとも関係ありますが、ニックナイトがshowstudio.comを立ち上げた理由として以下のように語っています。

 

 

ニックナイトが語るファッション産業の変化

『ファッション(特にモードブランドのプレタポルテ)周期の変化です。

1960年以降からパリミラノコレクションなどのプレタポルテ(既製品)のコレクションによって、マスマーケットとしてファッション産業が拡大。その後、さらに変化して90年代はコレクションを行ってファッション誌に掲載されて、服が消費者に届くまで9ヶ月かかる周期があった。

そして、現在さらに変化した。インターネットの普及によって、ライブストリームで誰でも同じタイミングでコレクションを観ることができる。ファッション誌の特集を待つ必要がなくなったという点。さらに、小売店は世界中にあってどこも同じなんだから、わざわざパリにいかなくても香港でオーダーすれば十分事足りる。

根本的にファッションの周期、産業、システムは変わったということをニックナイトは力説しています。だから、「全く新しい何か」が存在する意義があるということ。』

 

 

「全く新しい何か」がデジタルという武器であり、コミュニケーションファッションというワードを使っています。

 

ライブ・イベントのファッションショーもなくなることはないでしょう。ただ増えないかもしれない。絶対的存在から手段の1つになるかもしれない。この5年から10年ほどでガラリと変わるかもしれません。

しつこいですが、形が少し変わってもライブ・イベントのファッションショーはなくならいんです。
これは、ファッションショーのビジネスとしての意味合いをはっきりさせておくべきだからです。
ファッションショーは、コンサートや芸術鑑賞などの文化的、あるいはエンターテイメント性のあるものだけでなく、エディター、バイヤー達に対する大見本市だからです。
マーケットなわけですから、末端の消費者に伝わりにくいかといってすぐやめろ、というのは筋違いだと思います。消費者参加型だとなお良いですけどね・・・。とはいえ、それも過度になると最終的には、東京ガールズコレクションとあまり変わらなくなっていくでしょう。だから2つの線引が必要なんです。オンラインとオフラインを制する。

 

かつて世界経済不況から、パリではプレタポルテのファッションショーはいらないのではないか?という主催者側の話がありました。そういう問題か?と、私も含め皆で考えなおす機会が持てたのではないでしょうか。
大事なのは、帰するところビジネスとして成り立たせることができるか否か。
ビジネスという点については、あのカルト的な存在とも言える川久保玲氏でさえ雑誌「Pen」で吐露しているのだから。
消費者に「俺について来れるかな?」というブランドなのか、「どうぞどうぞ、お楽しみください」というブランドなのか、「・・・・・・・・・」というブランドなのか、やり方は違えど、人の琴線に触れる時金銭が動くということで、オチとさせて頂きます。

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