ファッションの「定番」は時代とともに変化するものなの?Is classic fashion influenced trend sometime?

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■定番は流動的なのか、進化型定番学というものを学ぶ

ファッションの定番(商品、着こなしを指す)とよく言うけれど、僕は何か違和感を感じるときがあります。
例えば、トム・ブラウンのような比較的新しいブランドは各ファッション誌の定番品として、新しく加わったりしているのを目にします。比較的クラシックな装いを提案してくれるMEN’S EXやBeginもしかり。
それは、トム・ブラウンがアメリカントラッドを再燃させた、ネオアメトラの旗手だからという貢献もあるんでしょう。でも、トム・ブラウンはあくまで21世紀のブランドであり、歴史は浅いし着こなすのはかなり大変だったりします。ラジカル(前衛的)で挑戦的とも言われますし。これは、定番とは逆ベクトルなのではないのか・・・?
常日頃思うことがあります。『定番は固定されているものなのか?』「定番=クラシックな装い」「定番=コンサバティブ(保守的)」を意味するわけですから、ある程度の時代を経て、トレンド、スタイルを超越した存在だと、身構えて考えてしまうわけです。
トレンドというものが、時代とともに時を経て戻ってくる(「ネオ」という言葉を使わますが:ネオアメトラが例)というのは、見てきてなんとなく納得しているんですけど。

 

一方、いわゆる定番というものは絶対的な存在で普遍的なものと思ってしまうところが私にはあったわけです。
例えば、サビルローのブランド全般、ブリティッシュ・トラッドだったり、アメリカントラッド、イタリアクラシコなんかは定番のアイテムであり、今になって流行り廃りがない特徴が貴重だと僕は思っています。

ところが、どんどん見ていくと、新しい着こなしやブランドアイテムが定番化されていたりするところもある。定番というのは一体なんだろう・・・、その「答えの1つ」がこの2冊に「THE STANDARD」と「THE COORDINATE」に載っているのかもしれません。

 

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ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也氏が監修しているメンズファッションの教科書シリーズ、学研ムックの「THE STANDARD」と「THE COORDINATE」。

このシリーズは、以前からかなり人気みたいですね。わずか120ページで小さなサイズですが、無駄がなく情報の宝庫です。また、今季の秋冬はこの2冊一緒に買わなければ効果が半減してしまいすので、両書読まれることをオススメしたいと思います。
中村達也氏の監修ということで、MENS EX、Begin系であることは間違いないです(笑)。

【定番の定義について】

この中で、中村達也氏が定番について語っています。①、②はその流れです。③はそれに対して「ちょっと待った!」という項目です。 ④は、①から③までの流れで温故知新的なかたちで定番を楽しむ本書の紹介。

まずは中村達也氏のお話。

 

①定番という意味自体に時代性(モダン)が含まれている 

先ほど、定番には普遍性があるという僕の経験則での考えを書きましたが、実はそのときのトレンドに影響されているということですね。一番わかり易いのがシルエット。昔より細身です。中村達也氏は言います。

「ことファッションの世界においては、タイムレスに魅力的であり続けるアイテムは、ほとんどないと言えるのではないでしょうか?例えば、今年のトレンドでもあるダッフルコート。当然、定番品と言って差し支えないアイテムですが、やはり10年前のモノは少し古くさい印象が否めません。テイストや伝統的なディテールにやや時代性(=モダンさ)が欠けるのです。そう定番品も常に進化し続けているのです。」

定番は時間の影響を受ける。でも、それは進化とも中村達也氏は付け加えています。これが進化型定番学と。
ちなみに、みなさんもご存知のように、今のトレンドは90年代よりもシルエットは細め、丈は短めです。アメトラが帰ってきてからも、本家ブルックスブラザーズのBDシャツ、あるいはラコステのポロシャツは、日本人仕様に細身になったりしました。英国のジョンスメドレーのVネックカーディガンも、タイトになり開きも細い・・・。これも、進化の1つなのかもしれません。

 

②有名人の着こなしが後に定番化 

「THE COORDINATE」のほうに、着こなし例がいくつ掲載されていて勉強になります。しかし、これは歴史に名を残す有名人の独特に着こなしが定番化したものもあったりします。

そういう方々を、ブレイキングルール(いわゆる「崩し」「ハズシ」)として紹介されています。こちらでちょっと足しました。

 

【ブレイキングルールをした有名人】

ウィンザー公:パターンオンパターン ウィンザーノット ダッブカラー タイスナップ ブリムハット フェアアイルニット
ウェンストンチャーチル:サイドジップシューズ ホンブルグハット チェスターフィールドコート
藤田嗣治:セルロイドメガネと刺繍
ヘミングウェイ:トラベルバゲージ、ジャックパーセル、LLビーンのブーツアバクロのサファリジャケットを着倒し
ジェームズ・ディーン:ホワイトTシャツにジーンズ 真っ赤な革ジャン
スティーブマックイーン:A2フライトジャケット、MA-1ブルゾン全般、バブアー、バラクータとペルソールのサングラス

 

こう見ていくと、だんだん面白い部分と近づいてくる。それは定番の進化とストリートファッション。ストリートファッションというワードを出した時点で、トラッド重視の服オタから、ディスプレイから出てきてぶっ飛ばされるんじゃないかという、恐れを感じながら書いているわけですが(苦笑)、極論、僕の中で整理整頓するとそうなってしまったんです。

というのも、カジュアルファッションの伝道師を紹介している「メンズウェア100年史」から考えていくと、その時代のブレイキングルールを起こす有名人がいるからです。やっぱりカジュアルファッション≒ストリートファッションという関係性も成り立つと仮定した場合、それは起こらないと考えるのは100%否定できない。

 
カジュアルファッションの元祖と言われているエドワード7世。着ているものはヘンリー・プールのダブルフロックコート。スーツの原型です。エドワード7世はダブルなのに、シングル風にボタンを留めたことお好きだった。それが粋だと注目をされます。しかし、庶民にはビスポークするお金がないので似ている既製品を買って同じようなことを始める・・・これがカジュアルファッションのはじまりという説です。
それからウィンザー公、またウィンザー公と時代をともにしたウェンストンチャーチル・・・と続きます。

やはり、時代の有名人の着こなしや着たブランドというものは、後に定番として残る可能性が高いかも・・・??

③定番を考えるならスーツを常に中心に ~既製服とビスポーク(フルオーダーメイド)を立て分けて考えなければならない~ 

さあ、ここまでの「定番」は現代に当てはめると流動的である、ということを切る項目を新たに設けます。①、②とは違うもう1つの答えです。

1970年以降、オートクチュール(フルオーダーメイドの高級仕立て服)よりも、既製服(レディメイド)がメジャーとなりました。大衆向けですね。これは、あくまでウィメンズのお話ですが、男性のファッションに影響が出やすいスーツの流れを見ると、同じくらいの時期にアルマーニのソフトスーツが出てきたり、自由度が高くなっていきます。

これに対し、メンズファッションの定番の歴史に一番深い関連のある英国から受け継がれている、ダンディズムという身嗜みの心得は、スーツの中に生きているようです。

林勝太郎氏の英国流おしゃれ作法の中に、ダンディズムについて以下のように書かれています。

真のダンディズムとは、文学上においても服装上においても、時勢に対して叛逆精神で立ち向かうことを本質としている。つまり、何かにこだわり、流行に押し流されることなく、頑固に自分の考え方(主義)を貫くことである。ダンディとは単なる洒落者や伊達者のみならず、外見を超えたところに見える服装と精神の合体であり、ある種のお洒落哲学のようなものを持っている人達のことを指すのである。

さらに、イギリスのダンディのお手本と言われたジョージブライアンブランメルを通して・・・、

着こなしの上手な人間は、けっして衣服によって、目立ってはならない。いかなる種類であれ、派手な模様はいっさい寄せ付けてはならぬ。上衣がつくられる色において地味であるが、識者の目から見て立派でなければならない。フィットは一部のたるみもなく完璧で、体の自然の線に従わなければならぬ。衣服のなかで気粉れが許される唯一の部分と言えば、ネッククロスの配置だけである。

ジョージブライアンブランメルは、200年ほど前の方ですからね、上記のクラシックな装いのお話の本家の方。だから、この歴史を無視すると、「定番は非常に流動的ですね」と書いてボコされて終わりなわけです(笑)。立て分けというか大きく見る必要性があると。

とどめとして加えると、故・落合正勝氏の登場でございます。ノイズがありますがよろしければこちらをご覧頂くほうが書くより早いかと。

●お洒落は女たちの為にするものではない
●服と服装は大違い
●流行に背を向けろ
●男の服はミリ単位

耳の痛い言葉です(苦笑)。日々精進。さらに観たい方は、落合正勝動画集13<賢いスーツ選び1>をご覧になってみてください。

そして、これらの知識は全て、[新版]男の服装術 に載っています。加えて金洋服店の服部晋の「洋服の話」、中野香織氏のスーツの神話を読むと、どっぷりとクラシックな装いにつかることができます。

以上のように、スーツの原点を出発としてメンズファッション200年を考えると「定番」とは自分の身体にフィットした着やすい服装とあいなります。定番品というものも、ブランド云々ではなくなることは言うまでもありません。

ストイックなまでに、かたくなに、それを守ろうとすることは非常に難しいところです。

一方、①、②のお話は、③を持って全て打ち砕かれるのかといえば、それも少し違う。
よって、私は両面を考える幅を持って定番を考えておくことが大切なんじゃあないか、そんな考えに至るわけです。土俵を同じにしてしまうと、テーラーでビスポークしたもの以外全て外道になるわけです。

「森を見て木を見よ」・・・大変ですね、ファッションは。

モードやトレンドを一切廃し、上から下まで1年中オーダメイドで作ったクラシックな装いができる方はそれも良いと思いますし、歴史に敬意を表しながら、少しスリムフィットになったクラシックブランドを着ることも間違っていないということ・・・ということでいかがでしょう。新定番を紹介する中村達也氏も、「アイテムに通底するヒストリーに敬意を払う」と話しています。③のようなことを中村氏は常に考えられていらっしゃるのだと思います。

③で長々と書きましたが、リンク先の動画で落合正勝氏が語る「良いスーツとは?」で、
「着心地が良い、スーツを着るのではなく素材を着る、いつまでたっても着れる」という答えが
印象的でした。服のための人間ではなく、人間のための服ということが定番のもう1つ側面かも。だからこそ、人を中心に作ったビスポークが最高である所以かも。

④コンサバカ 

さて、こういった温故知新の人種に近い?系統として、Beginで有名な、コラムニストのいであつし氏は、「コンサバカ」と名乗っています。
コンサバティブ+バカでコンサバカ。「バカがつくほどコンサバ」という意味だそうです、というか、Beginで有名なコラムニストいであつし氏の造語です(笑)。

コンサバは、60年代のアイビーブームから石津謙介氏のVANを愛し、あくまでアメトラ、アイビールックの代表ブランドを好んで着こなす(正統派の)男性であるのに対し・・・、
コンサバカはMADE IN USA カタログや、創刊号のPOPEYEの影響を受け、インコテックスにトムブラウンのシャツをあわせる進化型の定番偏愛?者のことのようです。良いと思えば旬なブランドも取り入れるということですね。

ブランドで言えば定番ブランドの中でも旬として取り扱われている、ボリオリ、ラルディーニ、ブルネロクチネリ、バブアー、インバーアランあたりはツボなわけですね。この辺は、MEN’S EXの新定番特集や、Beginの「定番VS新定番」、MEN’S Preciousなどでも特集されています。

 

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では、実際どうやって定番ながらトレンドを意識した着こなしができるか?それが「THE COORDINATE」に載っています。 これからの季節、抑えておくとためになると思ったものを紹介させて頂きます。

2冊で1つとして使えるのでご覧になってみてください。 

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