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■ファストファッションの知覚マップで各ブランドのポジションを探る
ファストファッションブランドのポジショニングマップができましたので公開及び簡単な考察を書きます。ポジショニングマップとは知覚マップともいって、我々、消費者の記憶の中で形成されているイメージを、統計分析によって、見れるように表現したもの。だから、これからお見せするポジショニングマップは、私が適当に、勘で各ブランドを設置したのではなく、サンプルを取って、統計分析にかけて出した結果です。本当なら、始めに分析手続きをダラダラ書くんですが、これは論文ではないので、先に結果を載せます。どうぞー。
各ブランド名とカラー(マップ上の色) X値 Y値
H&M |
1.3404 | 0.3472 |
UNIQRO(ユニクロ) | -1.8756 | -0.4563 |
ZARA | 1.3115 | 0.0788 |
GAP | -0.899 |
-0.879 |
COMME CA ISM (コムサイズム) |
0.5791 |
0.2348 |
Shimamura(しまむら) |
-1.1745 | 1.9678 |
HARE(ハレ) | 1.1722 | -0.2701 |
topshop/topman(トップマン) | 0.7335 | -0.5153 |
mujirushi(無印良品) | -1.6369 |
-0.5247 |
American aparell(アメリカンアパレル) | 0.4493 | 0.0168 |
・ポジショニングマップのX軸Y軸について
まず、今回の分析を行うにあたり、103人もの被験者からサンプルを集めました。そのうち、91名のデータを使い分析を行いました。
採用されたサンプルは、上記の10個のブランドを知っている人達です。年齢は20歳から36歳までの男性です。大変だった(汗)
上記の図と各ブランドのポジションと、あわせながらご覧頂きたいんですが、ポジショニングマップのX軸が「トレンド(コンサバティブ-トレンド重視)」、Y軸を「手軽さ(品質重視-お手軽)」と設定しました。
この2次元の軸に関しては、配置された各ブランドの分布の様子から客観的に考えて、要因として決めました。X軸の「トレンド」は簡単に分かると思います。
X軸、Y軸ともに-2.5から2.5までと散らばりました。ちなみに類似度データから算出したため、値がマイナスだからといって「悪い」というイメージではないというところをあらかじめ憶えておいてください。 あくまで分布がポイント。
さて、X軸ですが、プラスにいくほどH&M ZARA HARE topshop/topmanと順に並んでいます。そして、マイナスになるほどユニクロ 無印良品 GAPといったブランドが並んでいるので、X軸を「トレンド」として軸にすることが妥当だと思います。
解釈が難しかったのはY軸だったんです。マップをご覧になればおわかりの通り、「しまむら」以外フラットなんです。あまり散らばっていない。しいて言えば、GAP ユニクロ 無印良品 トップマン がY軸の下のほうにあります。
この4つに共通するのは品質の良さ。ファストファッションの中では高品質です。だからY軸のマイナスを品質重視としました。ただ、ハレもギリで並んでいるので一概に言い切れない面もある。
「しまむら」が離れ小島になっています。他のどのファストファッションにも似ていないというイメージが強かったのでしょう。最初は、欠損値としてはじこうかと思ったのですが、ブランド数が10個未満になり分析の意味がなくなってくるので採用しました。そこで、しまむらのダントツなイメージは、ファストファッションの中で一番手軽なのかな、と解釈し「お手軽」としました。 品質重視の逆ということで、しまむらは品質が悪いのか、というご意見があると思いますが、それよりも驚異の手軽さほうに注目していきたいと思います。
以下、分析のプロセスを書くので、興味のない人は下のポジショニングマップを考察をご覧ください。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
・統計分析の手続き(段取り) “Multi Dimensional Scaling”
ブランド(刺激語)は、全部で10個選びました。この基準は、以前本ブログで質問したときに回答を頂いた有名ファストファッションブランドです。アバクロとかレイジブルー ベネトン ライトオンなどもありましたが、そこまで把握している人が少ないので、上記の10個となりました。
アンケートは類似度で調査を行いました。アンケートの例を1つ。
次のブランドは似ていますか?
1、ユニクロとH&M 非常に どちらとも 非常に 似ている いえない 似ていない 7 6 5 4 3 2 1 |
このような質問を全部で45問つくりました。
何を持って似ているかは、被験者次第。これで被験者の各ブランドの主観的イメージがわかるわけです。ちなみに7点尺度で行いました。
それをもとに、順位データによる対称行列をつくりました。これを多次元尺度構成法(MDS)という統計分析にかけて結果を出しました。
なお、使った統計ソフトはSPSSです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
・ポジショニングマップを考察
では、上記のことを把握してもらいつつ、ポジショニングマップを見てください。どんな分布をしているでしょうか?わかりやすいのは
X軸(トレンド)の分布の具合。トレンド重視であるプラスで、特に値が高いH&M ZARA HAREは消費者のイメージ上被っています。やっぱりこの辺が競合ですね。ちょいと離れたトップマンは、Y軸の品質重視にもあたっています。
結構いいポジションかもしれない。
X軸(トレンド)のコンサバティブにはユニクロ 無印良品 GAP。特にユニクロは地味なイメージが高いですが、これこそが今年度売れたポジションでした。
3ブランドともY軸の品質重視のほうに分布されています。
最後に、ポジショニングマップ内にある大理石と水玉の楕円について。
これらは、消費者イメージの中にあるビジネスチャンスのある領域、つまり潜在市場です。ブランド数が10個だったので、もっと増やせばこの領域に分布するものもでてくるかもしれませんが、まだ有名とはいえないので、チャンスのあるところです。特に水玉領域は、「安かろう良かろう」というコストのかかる難しい所ですが、今日の厳しい経済状況から見て、始めから「無理」と無視はできないと思います。
最後に、あくまでこれは統計分析という色眼鏡を通して見たポジションです。多次元尺度構成法にも限界があるため、参考程度にしておいてください。
とはいえ、自分の勘でポジショニングをするのとは説明力の強さが違ってくるのも事実です。
以上、考察を書いてみました。ご参考になれば幸いです。
関連:ファッションブランドのポジショニングマップ■ファストファッションの知覚マップで各ブランドのポジションを探る
ファストファッションブランドのポジショニングマップができましたので公開及び簡単な考察を書きます。ポジショニングマップとは知覚マップともいって、我々、消費者の記憶の中で形成されているイメージを、統計分析によって、見れるように表現したもの。だから、これからお見せするポジショニングマップは、私が適当に、勘で各ブランドを設置したのではなく、サンプルを取って、統計分析にかけて出した結果です。本当なら、始めに分析手続きをダラダラ書くんですが、これは論文ではないので、先に結果を載せます。どうぞー。
各ブランド名とカラー(マップ上の色) X値 Y値
H&M | 1.3404 | 0.3472 |
UNIQRO(ユニクロ) | -1.8756 | -0.4563 |
ZARA | 1.3115 | 0.0788 |
GAP | -0.899 | -0.879 |
COMME CA ISM (コムサイズム) | 0.5791 | 0.2348 |
Shimamura(しまむら) | -1.1745 | 1.9678 |
HARE(ハレ) | 1.1722 | -0.2701 |
topshop/topman(トップマン) | 0.7335 | -0.5153 |
mujirushi(無印良品) | -1.6369 | -0.5247 |
American aparell(アメリカンアパレル) | 0.4493 | 0.0168 |
・ポジショニングマップのX軸Y軸について
まず、今回の分析を行うにあたり、103人もの被験者からサンプルを集めました。そのうち、91名のデータを使い分析を行いました。
採用されたサンプルは、上記の10個のブランドを知っている人達です。年齢は20歳から36歳までの男性です。大変だった(汗)
上記の図と各ブランドのポジションと、あわせながらご覧頂きたいんですが、ポジショニングマップのX軸が「トレンド(コンサバティブ-トレンド重視)」、Y軸を「手軽さ(品質重視-お手軽)」と設定しました。
この2次元の軸に関しては、配置された各ブランドの分布の様子から客観的に考えて、要因として決めました。X軸の「トレンド」は簡単に分かると思います。
X軸、Y軸ともに-2.5から2.5までと散らばりました。ちなみに類似度データから算出したため、値がマイナスだからといって「悪い」というイメージではないというところをあらかじめ憶えておいてください。 あくまで分布がポイント。
さて、X軸ですが、プラスにいくほどH&M ZARA HARE topshop/topmanと順に並んでいます。そして、マイナスになるほどユニクロ 無印良品 GAPといったブランドが並んでいるので、X軸を「トレンド」として軸にすることが妥当だと思います。
解釈が難しかったのはY軸だったんです。マップをご覧になればおわかりの通り、「しまむら」以外フラットなんです。あまり散らばっていない。しいて言えば、GAP ユニクロ 無印良品 トップマン がY軸の下のほうにあります。
この4つに共通するのは品質の良さ。ファストファッションの中では高品質です。だからY軸のマイナスを品質重視としました。ただ、ハレもギリで並んでいるので一概に言い切れない面もある。
「しまむら」が離れ小島になっています。他のどのファストファッションにも似ていないというイメージが強かったのでしょう。最初は、欠損値としてはじこうかと思ったのですが、ブランド数が10個未満になり分析の意味がなくなってくるので採用しました。そこで、しまむらのダントツなイメージは、ファストファッションの中で一番手軽なのかな、と解釈し「お手軽」としました。 品質重視の逆ということで、しまむらは品質が悪いのか、というご意見があると思いますが、それよりも驚異の手軽さほうに注目していきたいと思います。
以下、分析のプロセスを書くので、興味のない人は下のポジショニングマップを考察をご覧ください。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
・統計分析の手続き(段取り) “Multi Dimensional Scaling”
ブランド(刺激語)は、全部で10個選びました。この基準は、以前本ブログで質問したときに回答を頂いた有名ファストファッションブランドです。アバクロとかレイジブルー ベネトン ライトオンなどもありましたが、そこまで把握している人が少ないので、上記の10個となりました。
アンケートは類似度で調査を行いました。アンケートの例を1つ。
次のブランドは似ていますか?
1、ユニクロとH&M
非常に どちらとも 非常に 似ている いえない 似ていない
7 6 5 4 3 2 1 |
このような質問を全部で45問つくりました。
何を持って似ているかは、被験者次第。これで被験者の各ブランドの主観的イメージがわかるわけです。ちなみに7点尺度で行いました。
それをもとに、順位データによる対称行列をつくりました。これを多次元尺度構成法(MDS)という統計分析にかけて結果を出しました。
なお、使った統計ソフトはSPSSです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
・ポジショニングマップを考察
では、上記のことを把握してもらいつつ、ポジショニングマップを見てください。どんな分布をしているでしょうか?わかりやすいのは
X軸(トレンド)の分布の具合。トレンド重視であるプラスで、特に値が高いH&M ZARA HAREは消費者のイメージ上被っています。やっぱりこの辺が競合ですね。ちょいと離れたトップマンは、Y軸の品質重視にもあたっています。
結構いいポジションかもしれない。
X軸(トレンド)のコンサバティブにはユニクロ 無印良品 GAP。特にユニクロは地味なイメージが高いですが、これこそが今年度売れたポジションでした。
3ブランドともY軸の品質重視のほうに分布されています。
最後に、ポジショニングマップ内にある大理石と水玉の楕円について。
【トレンド重視-お手軽】 【トレンド重視-品質重視】
これらは、消費者イメージの中にあるビジネスチャンスのある領域、つまり潜在市場です。ブランド数が10個だったので、もっと増やせばこの領域に分布するものもでてくるかもしれませんが、まだ有名とはいえないので、チャンスのあるところです。特に水玉領域は、「安かろう良かろう」というコストのかかる難しい所ですが、今日の厳しい経済状況から見て、始めから「無理」と無視はできないと思います。
最後に、あくまでこれは統計分析という色眼鏡を通して見たポジションです。多次元尺度構成法にも限界があるため、参考程度にしておいてください。
とはいえ、自分の勘でポジショニングをするのとは説明力の強さが違ってくるのも事実です。
以上、考察を書いてみました。ご参考になれば幸いです。
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