女性の心理は下着に出る?『下着の社会心理学』 Underwear means women’s psychology?

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■女性だけでなく男性にも読んでほしい740円の優れた一冊

下着の社会心理学 洋服の下のファッション感覚 (朝日新書)
菅原健介+cocoros研究会

朝日新聞出版 2010-11-12
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本書籍は、「女性の下着」というあまりにも身近な被服に対して社会心理学を中心に、性格心理学、統計学を通して、深く斬り込んでいったものです。本来、外から見えないはずの下着に、女性たちはなぜこだわり、なぜオシャレをするのか?20代から70代でのべ1万人の調査を実施。高度な多変量解析により、要因を抽出しました。

 

 

よって、ファッショニスタはもちろん、アパレル関係の卒論を書く学生さん、マーケティング関係の方には必読かもしれません。なんといっても、税別で740円という魅力的価格。これにはわけがあります。簡単に言うと、この本はワコールのココロス研究会と著者である菅原健介先生の共同研究によるものであり、謝礼をもらっていないため。また、本当は研究成果、調査結果として学術論文だけにする予定だっため、営利目的で出版したものではないかもしれません。研究結果をシェアすることがその代わりとなるという。この辺からも大変真面目に取り組んでいることが、みなさんにもなんとなく伝わったかと思います。 だからハァハァしながら読む本ではないのであしからず(笑)。

 

 

『事の発端』

ワコールの人間科学研究所から成るココロス研究会が著者の菅原健介氏のともに訪れる。菅原健介氏自身、女性の下着に対して全く基礎的知識を有していなかった。しかし、ワコールの関係者いわく、昨今の下着のデザインの種類の拡大には目を見張るものがあり、この要因を社会心理学的側面から研究したいということ。1970年代には白かベージュしかなく、形もだいたい決まっていた女性の下着が、現在では1つの商品グループで20色あり、さらに分けると200種に及ぶという細分化。「好きな下着の色でその人の性格がわかる」といった心理ゲームネタだったらこの依頼を断るつもりだった菅原健介氏も、この多さに愕然として学問的関心を持ち、ワコールの持つココロスの一員となり研究を開始。本書を出版する運びとなったわけです。

 

 

 

『超ざっくりな本書籍から抽出されるチェックポイント』

簡単に書かれているものの、本書はアカデミックで複雑な面があるので、ここで簡単に「なぜ女性は下着にこだわり、オシャレをするのか?」という問いに対して、本書の調査結果を箇条書き書いてしまうと・・・、

 

1】時代とともに下着の地位があがった。高関与(こだわりが高くなった)なアイテムとなったから。

2】1の結果と心理尺度と下着との因果関係から、下着への高いこだわりは高次元の欲求(尊重の欲求:他者に印象づけたい、尊敬、賞賛されたいという欲求)につながり、性欲(生理的欲求)といった生理的欲求をはるかに凌駕していると著者は言う。自分に自信を持たせるということと、対人関係まで複雑な心理学的な領域まで下着の存在は入り込んでいる。

3】2の結果、女性の9割はお気に入りの下着を所持しており、下着を購入するのに6割がデザインで選んでいる。若者は「カワイイ」という感性で判断。それから年を重ねて「シンプル」という考えにシフトしていく。

4】肌見せファッション到来により、「見せる下着」の登場。1998年から流行ったキャミソールドレスが、インナーのアウター化を促進。下着のファッション性を一層高めた。「見せる下着」と「見える下着」は違う。日本の女性は決して恥じらいを捨てたわけではない。

5】下着は女性にとって、男性を誘惑する「アピール」」という考えだけなのは偏見であり、着用することによってやる気をおこす「気合」と、ほっとする「安心感」があるためにこだわる。

6】女性の中でも、50代からは、肌見せファッションに違和感を覚える。「性をめぐる社会秩序」という問題。羞恥心のポイントが、20代、30代と異なる。

 

 

 

女性下着の歴史から見る心理の変化

本書における女性の下着の歴史を見ていくと、下着は基本的な機能以上の存在へと成長していくことがわかります。その歴史中には、時には叩かれ性の象徴のように扱われる困難もありました。それを乗り越えて~、みたいな感じです。簡単に紹介。

《あくまで上着の下の存在、体型の補正だった下着》

1919年:ブラジャーが開発され、日本でもこのころ少しずつ入ってきたとされている。

1950年:第2次世界大戦が終わり、和光商事(ワコールの前進)がブラジャーの生産を開始。日本の女性が、海外から来た考えシルエットを強調するため下着を購入しはじめる。

 

《陰の存在から陽の存在への挑戦》

1957年:下着のファッション性、多様性を高めるため下着デザイナー鴨居羊子氏がチュニカショウを行うも、男性目線の部分を指摘されなかなか支持されない。お色気グッズとしか見られない。時同じく、スリップが提供されるが、同じ理由で拡大の壁となった。

1970年代半ば:ほぼ、日本の女性に西洋の下着が行き渡る。

 

《インナーのアウター化、下着が脇役から表舞台へ》

1998年:肌見せファッション、「下着ルック」の台頭。新しいデザインのキャミソールドレス、スリップドレスが流行る

2000年以降:みせパン、みせブラという言葉が流行。

簡単ではありますが、以上のような歴史の中で、女性の下着はただの脇役からアウター化、あるいはアウターを着るのと同じくらいのこだわりを女性が持つようになります。

 

 

下着へのこだわりの要因3つと因果関係

 

図表は本書を見て頂きたいのですが、『下着のこだわりの要因(因子)は何か?』を考えた場合、「アピール」「気合」安心感」という3つの因子とデザイン性から構成されていると本書では書かれています。

なにを根拠にそういう事が言えるのか?そこで統計分析の登場です。「数字はモノを言う」。真理ではありませんが、強いツールであることには変わりません。これは統計分析の1つである、構造方程式モデリング(因果分析)を用いたため、統計学というフィルターを通した条件のもとで表現が可能となったものです。「アピール」「気合」安心感」は、数字では直接測れない構成概念で、デザイン性、補正性、ブランド性、つけ心地という4つ変数から因子分析という統計分析で抽出された「重み付けの塊」です。4つの変数(たぶん観測変数)から、間接的に可視化された、「アピール」「気合」安心感」、そしてデザイン性で構成された塊こそが、「下着のこだわり」という1つの構成概念を形成しているということが実証されています。

大変高度な分析で、難しいのですが、私個人としてはすべてのアンケートと因子負荷量などの分析結果が欲しかった。因子分析という分析だけでも興味があればお調べになっても面白いかも知れませんよ。

ちなみに「こだわり」がある、というのは社会心理学で言う「高関与」という意味になります。高関与であるということは、消費行動の側面からすると、自分の価値観、趣味に合うかどうか・・・非常に悩んだり、考えたりしながら選ぶということ。こういう状況、行動は高度な情報処理を行っていると言われています。皆さんも興味のあるモノは価格の高低に関わらず、時間をかけて選ぶでしょう?それが高関与である証拠です。

 

 

 

【下着のこだわりは賞賛への欲求のレベル】

本ブログで何度も紹介しましたが、マズローの欲求5段階解説。この辺は、菅原健介氏が省いた分僕が加筆をしたのでご注意を。これも社会心理学で欲求の次元を5つに分けた理論です。「下着」というと、男性視線で言うと一番下位の生理的欲求・・・つまり性欲を思い出してしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、菅原健介氏いわく、女性は下着に対して賞賛への欲求(尊重の欲求)であるとしています。これは最高レベルの一歩手前の欲求であり、高次元です。

リンク先のウィキベディアで書かれている通り、下着を通して『高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される。』普段、外から見られないからこそここまで成熟した世界観を有しているのかもしれません。

 

 

【最後に】

長くなるのでこの辺にしておきます。非常に興味深い調査だったので、あっという間に読んでしまいました。逆に言うと、すごい高度な調査をしているにも関わらずまとめすぎてもっと情報がほしいくらいでした。そういう方のために、ココロスが調査結果をpdfファイルでHPに提供してくれているではありませんか。ココロス最高。ということで、以下のココロスのHPとともに興味のある方はご覧になってみてください。

http://www.cocoros.jp/ 

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